サンズシーズン

サンズのスタイル 【オールドスタイル】

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昨年王者レイカーズを制し、大躍進するサンズ。彼らのチームの仕上り具合は他に無いレベルで完成していると思う。そんな彼らが用いるシステムはディレイドオフェンスだと考える。一般的な「時間をかける」ではなく、敢えて速攻を作らないサンズの強さについて書いて行く。

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ディレイドオフェンス

時間をかけてボールを支配する

ディレイオフェンスとは、「遅いオフェンス」という意味で、英語のDelay(ディレイ=遅延・遅い)から名付けられている。ショットクロックを目一杯使う為、攻撃回数は少なくなるが確率の高いショットを選択し、効率を上げることを図る。一般的に速攻の方が得点することは容易とされるが逆転の発想で生まれたもの。相手チームよりもボール保持率が高く、焦らされる印象を与えることができる。

ディレイオフェンスを展開する為には

  • チーム全員のシステム理解度が統一
  • チーム全員のバスケIQが高い
  • スペーシング、カッティングが適切

単純に時間を使うのではなく、適切なスペースを確保し、質の良いシュートを放つ必要がある為、大前提は選手達の「頭の良さ」が必要だ。一定のスキルは必要なものの、二の次で良いと思う。まずは味方のスペースを奪わない、または生み出してあげる動きを理解したプレイが必要。ディレイオフェンスでなくても重要なことだが攻撃回数を落とすシステムであればマイポゼッションで質の高いショットを展開する必要があるからだ。

スペースを突いていくハンドラー

  • 支配的なボールハンドラーが欲しい
  • 困った時に預けられる選手が欲しい
  • 主軸となれるインサイド、アウトサイドが欲しい
  • アウトサイドの確率が良い
  • パスの出し手と受け手の意思疎通

縦横無尽に動くモーションとは異なり、ディレイはどっしりと構えてチャンスを伺う。その為に起点となる選手を置くことは重要。その選手にパススキルが備わっていると更に良い。P&R→キックアウト→3Pは単純明快だが、簡単に行かないからこそズレを作る為にスクリーンやカッティングがあるが意思疎通が無いと返ってスペースを潰す悪いプレイになる。更にパスが来ないのにそれらを好んで行う選手は殆どいない。空の動きはあるが選手心理ではボールに触りたい意欲が多くを占めるからだ。そういった意味でも起点の選手はパスを捌く能力がいる。サンズではCP3が最たる例だ。

スペースを広げる選手

まずはアウトサイドが計算できる選手を並べることが重要。優秀なハンドラーがいてもディフェンスを収縮されてはなす術がなくなる。スペース広げる為にはアウトサイドは最重要事項。一方、インサイドは泥臭く頑張れる選手が欲しい。スクリーンの意識が高く、確実にFG決めてくれる選手がいるだけでディフェンスは中外を意識して守る必要があるからだ。

エイトンは派手さは無いが高確率なFGとスクリーンの意識が高い。高さのズレと横のズレ両方を生み出せる選手だ。エイトンがいるからこそ外中と意識しざるを得ないので余計に厄介だ。

サンズの強さ

ディレイを強みにできる布陣

  • CP3=ガードに必要なもの全てを持つ
  • ブッカー=類稀なシュートを沈める能力
  • ブリッジズ=カッティングで味方に合わせる能力
  • クラウダー=エナジー溢れる3&D。高確率。
  • エイトン=ダンカンを彷彿するリム周辺の働き

CP3の支配力→ブッカーの爆発力→エイトンの堅実さが軸となり、守備力と走力に長けた3&D2人を置く布陣はチーム方針の現れか。

ベンチメンバーらも同じクオリティでプレイできる。全員が同じIQを持ち、時にダーティーな一面も見せるチームとしての一貫性があり、纏まった印象を受けた。

堅固なディフェンスと焦らされた上でシュートを決める様に相手は想像以上にダメージを受ける。第三者から見ても「これは強いわ、、、」と印象を受ける人が多いのではないだろうか。

一番の強みは?

ディレイオフェンスを展開する為の守備力だ。ターニングポイントであった第4戦のディフェンスハイライト。第4戦は圧巻のディフェンスであった。

大きな特徴として非常に収縮している。レブロンのアタックに対しては5人が集中しているレベルだ。パスが出されてからボールを狙うのではなく、出し手その物を潰して行く印象を受けた。強い収縮の利点はもう一つ、全員リバウンドだ。ディレイをする場合、速攻は不要な為、確実にリバウンドを物にすることが大切。強い収縮はディレイに適したスタイルだと思う。

強い収縮を可能にするのは選手達の意識と機動力。エイトンまでもがガード選手につける力を有している。その機動力とリーチの長さから相手チームは5人以上で守られている感覚ではなかろうか。

ディフェンスで最も重要なことは「意志」だと考えている。意志無くして足は動かない。彼らは自らがハードワークが必要だと理解してプレイしているだろう。コーチの統率力もあり、ディフェンス1つとっても纏まった強豪であることに間違いはない。

強固なディフェンスがあるからこそディレイオフェンスを展開できるのだ。点の取合いに持ち込まないことこそ真髄である。

サンズの不安材料

パッシングチームを相手にするケースだと思う。そう。セミファイナルの相手ナゲッツだ。理由は的を絞りにくく収縮のデメリットを突かれやすい。

レイカーズはレブロンADのドリブルメイクから展開されることが多い。安易に表現するとスター依存スタイル。彼らを潰せばチームの機能は低下することが明白だ。その為、一極集中で収縮してもハマれば効果は抜群なのだ。

一方、ナゲッツはチーム全員でパッシングを展開。スター選手を擁すもそのスタイルは変わらない。人間のスピードはどう転んでもパスのスピードには勝てない。つまり一々収縮していてはローテーションやピックアップが間に合わず、振り回される結果になるやもしれない。そうなるとサンズの強みは一気に弱みに変わるだろう。

更にナゲッツはサンズ同等以上のサイズと機動力のある布陣だ。やりづらいスタイルにフィジカル面の優位性がなくなるのであれば非常に手強い相手だろう。

最後に!

サンズの強み弱みを客観的目線で考察したが如何だろうか。今年の彼らの躍進を見て胸を躍らせている私はセミファイナルが待ち遠しい。熱き戦い。驚きばかりのプレイを見せてくれるNBAは最高。

NBAをもっと日本に普及させたい。

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